研究概要 |
I,抗体反応を用いる微生物の迅速同定・定量法:歯周病の診断に利用すべく開発された歯周病菌の抗体による同定と定量法を模倣して、土壌微生物のうち特定の微生物に限って迅速同定と定量ができる方法の可能性を検討した。理化学研究所微生物制御研究室の好意により恵与されたモノクロナール抗体(MoAb)AP19-2を用いて滅菌水中に分散させたFusarium oxysporumを定量したところ、このようなモデ系では気体したように良い定量性を示すことを認めた。しかし、東大農の土居らが報告しているハクサイ根こぶ病菌の汚染土壌からの抗体法による検出を模倣しての土壌中のFusarium属の検出にはまだ成功していない現状である。 II.複雑な物質群からの微量有機化合物の分離同定と定量法の確立:特異二次代謝成分としてクレロデンドリン類を含有するクサギ(Clerodendron trichonum,落葉性の潅木)を材料にして高速液体クロマトグラフと大気圧イオン化四重極質量分析計を直結した装置で表記の課題を解決した。クサギの葉少量(生葉重として数10mgで十分)を抽出し、高速液体クロマトグラフで分離したフラクションを連続的に上記の質量分析計に導入して全イオンクロマトグラフを観察すると同時に、特定フラグメントイオンを探す方法で同定と定量が一挙に行える方法を確立した。クレロデンドリンAでは50ナノグラム以上の存在量で精度高く定量できることを確認した。この方法は広い範囲に応用することができる。
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