研究課題/領域番号 |
06453173
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
深海 浩 立命館大学, 理工学部, 教授 (60026531)
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研究分担者 |
森崎 久雄 立命館大学, 理工学部, 助教授 (50125671)
立木 隆 立命館大学, 理工学部, 教授 (60026573)
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キーワード | Fusarium oxysporum / Psuedomonus syringae / Clerodendron trichonum / クレロデンドリン類 / 免疫学的定量法 / 化学生態学 |
研究概要 |
1.根圏微生物の動態解析に関する研究 (1)微生物の迅速同定と種特異的簡易定量法の開発:有江ら(理研)がFusariumoxysporum 860926a(ミツバ株枯病菌)を抗原として作製したマウス由来のモノクロナール抗体を利用してFusarium属微生物の迅速定量の方法を検討した。その結果、(1)水中に菌体を分散させたモデル系では定量できるが、その精度は菌懸濁液濃度(菌体乾燥重μg/mlで表示)で10倍の差以下の場合には識別できない程度であった。(2)また、無菌土壌にFusarium菌を加えたモデル系では定量法としての再現性は実現できなかった。これは菌体の土壌への吸着程度の差、免疫的定量系への土壌微粒子の妨害が主な原因であり、菌体と土壌粒子の分離はろ過、遠心分離、凝集などの方法では成功しない。 (2)微生物表面の特性と吸着機能:根圏における微生物生態解析への微視的アプローチの第一歩として、すでに表面荷電及び親水性疎水性の差が証明されているPseudomonas syringaeとその変異種のイタリアンライグラスの葉表面への付着を比較して、塩濃度やpHなどの影響を明らかにした。この知見は土壌粒子表面との微生物の相互作用を解析する問題に示唆を与える内容を数多く含んでいる。 2.複雑系に含まれる微量有機化合物の定量:この課題は化学生態学の分野にとどまらず、ほとんどの分野で遭遇するものである。ここではLC/MS(日立M-1000)を主たる分析機器として利用する方法を検討した。その結果、(1)モデル系としてクサギClerodendron trichonumの葉に含有されるクレロデンドリン類の定量を実施し、ng/μlの供試溶液濃度で満足できる定量性が得られた。(2)応用例としてクサギ葉中のクレロデンドリン類の季節変動を追跡した。その消長は、クサギの葉に特異的に誘引されるカブラハバチ成虫の出現時期と一致した。植物昆虫間相互の化学生態学の分野に興味ある問題を提起する結果となった。
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