研究概要 |
1.新開発の麦芽タンパク質(MPF)の栄養価を化学分析と飼育試験から評価した。魚粉に比べてMPFでは,糖質が多くてタンパク質が少なく,またLysとMetが少なかった。10-40%のMPF代替飼料でブリを飼育した結果,30%以上の代替区では成長や飼料効率が低下したが、20%以下の代替区では無代替区と同等の成績がみられ,魚粉代替源としてMPFが有用であることが明らかになり,日本水産学会誌に発表した。 2.30%大豆油粕代替飼料に対するリンの好適添加量を調べた。その結果,無添加区では血液性状や成長が劣っていたが,1.5%のリン酸1カリウム(リンとして0.68%)の添加により向上した。3%以上の添加は悪影響を招き,ブリ実用飼料に対する好適添加量は1.5%前後と判断され,水産増殖学会誌に発表した。 3.大豆油粕栄養価の改善を目的として,精製と発酵の効果を化学分析とブリの飼育試験から調べた。アルコール精製により油粕の糖質が減りタンパク質が増えた。精製油粕代替区のブリでは,未精製区ばかりでなく無代替区にも勝る成長や飼料効率がみられ,アルコール精製の有効性が明らかになり,水産増殖学会誌に発表した。 4.生および加熱油粕をブリに強制給与し,消化過程を比較した。生油粕は胃を速やかに通過し,小腸でも消化は余り進まずに排泄された。一方,加熱油粕は胃をゆっくり通過し,小腸で多量かつ長時間滞留して消化され,魚粉に似た消化過程をたどり,加熱による栄養価の向上が明らかになり,日本水産学会誌に発表した。 5.マアジ筋肉の合成エキスを用いて,イサキの摂餌刺激物質を検索した結果,合成エキスの塩基群はイサキの摂餌を阻害した。一方、アミノ酸群またはヌクレオチド群は摂餌を賦活したし,両者の混合物はさらに顕著に賦活することが明らかになり,アミノ酸・ヌクレオチド混合物の摂餌促進効果を水産大学校研究報告に発表した。
|