研究概要 |
我々はこれまで典型金属、遷移金属を問わずあらゆる有機金属錯体を有機合成に利用するという観点から研究を続けてきた。Me_3SiSnBu_3をトランスメタル化の試薬として利用することを試み、その研究途上、Me_3SiSnBu_3をR_4NXと作用させるとBu_3Snアニオンの生成すること、しかもこのBu_3Snアニオンは、Aryl又はVinyl Halideと反応しAryl又はVinylアニオンを生成することを見いだした。そこで本年はMe_3SiSnBu_3とF^-の系を用い1,2-Dihalo化合物からベンザインあるいは1,3-Dipolar Additionのための反応種が生成する可能性がある。1,2-Dibromobenzene及びフランをDMF中TASFを用いてMe_3SiSnBu_3と反応させる環化生成物が13%の収率ではあるが得られた。本結果はベンザインの生成を意味する。そこで2位にメトキシメチル基を持つフランをenophileとして用いて反応を行ったところ44%の収率で環化生成物を与えた。又2位にエトキシカルボニル基を持つ化合物は全く環化体をあたえなかった。本結果1,2-dihalo化合物をMe_3SiSnBu_3をR_4NXと作用させるとベンザインが生成するという結果を示したことになる。しかし,3-Dipolar additionについては種々検討を加えたが良い結果はえられなかった。一方、最近Snアニオンとmethyl propyolateの反応から得られるMethyl bis(tributylstannyl)propionateがC-3 Elongation試薬として有効であることを見い出したのでその点についても検討を加えた。
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