研究概要 |
1.Ophiorrhiza属植物の細胞培養と形質変換-沖縄県琉球列島に分布するアカネ科植物チャボイナモリのカンプトテシン系二次代謝産物生産酵素系の活性発現を期待して、組織培養と、これに伴う代謝機能究明研究を行った。 1)固定培地上の組織培養とその代謝産物-ドイツマインツ大学薬学部において誘導された上記植物カルス細胞系について培養実験を行った。培養細胞は時間の経過とともに種々の色調に着色し、キノン系化合物の生成を示唆した。得られたカルスを水-酢酸エチルで分配を行い、有機溶媒層、水層移行部をそれぞれ分離精製した結果、新規化合物2種を含む11種のアントラキノンを得た。これらアントラキノン類は野生の植物体には全く検出されず、培養にともなう何らかのエリシター活性により誘起されたフィトアレキシンと考えられる。同じ現象がオランダライデン大学のVerpoorte教授によりキナの組織培養で観察されている。 2)器官再分化植物体の形成と代謝産物-前記の培養組織を、はじめIAA続いてカイネチンを添加したMS培地で培養すると器官分化がおこる。現在まだ発根には成功していないが得られた幼植物を集めて抽出を行いTLCおよびHPLCで分析したところカンプトテシン、9-メトキシカンプトテンシ、プミロシド、デオキシプミロシドの検知に成功した。このときアントラキノン類の生成は全く見られなかった。 2.新規エステル型カンプトテシン類の合成-A環部に長鎖脂肪酸残基を持つ10-Palmitoylcamptothecinの合成を行った。 3.新規創薬資源植物の探求-琉球列島産資源植物ハナシンボウギ(ミカン科)の近縁Glycosmis属植物2種がマレーシアに産する。この植物の成分研究を現地研究者との共同研究として行い7種のアを得て構造を明らかにした。他にオトギリソウ科Garcinia,Callophyllum各属、アカネ科Morinda属などの植物を対象に含有成分の検討を行った。
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