研究概要 |
1、1,1′-binaphthalene-8,8′-diol(8-BINOL)誘導体を用いる不斉プロトン化反応 新しい光学活性軸不斉化合物として8-BINOL(1)を対応するラセミ体の光学分割により得た。1及びそのカルバモイル体2を不斉プロトン源とし、2-アルキル-1-テトラロン類のエノレートの不斉プロトン化反応を行なった。不斉収率はエノレートのカウンターカチオンに大きく依存し、マグネシウムエノレートを用いたとき最高94%eeで目的物が得られた。以上のような高選択的不斉誘導は対応する2-BINOL誘導体を用いる比較実験では達成されず、8-BINOL骨格が不斉源として有用であることが示された。 2、1,1′-binaphthalene-2,2′-diol(2-BINOL)誘導体を用いる不斉Horner-Wadsworth-Emmons反応 我々はメソ型のα-ジケトンを基質とする表題反応が高選択的(〜98%ee)に進行することを既に見い出している。今回2-BINOL誘導体3を用い、さらに種々のbicyclic〔2,2,1〕骨格を持つメソ-α-ジケトンについて検討したところ、本反応が一般性を以て高エナンチオ選択的に進行することがわかった。また今回新たに、プロキラルなアレンクロミウム錯体の非対称化による不斉誘導を3を用いて検討した。その結果、1,2-ジオキソベンゾシクロブタンを基質とした時、94%eeで目的とする表題反応が進行した。
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