我々は異常アミノ酸を含む、特に海洋生物由来のペプチドが著しい生理活性を有する点に着目、これらペプチドの化学構造と生物機能の相関の解明と生物機能発現構造の特定化を目的として、異常アミノ酸を含有する生理活性ペプチドの効率的構築法を研究対象としている。本年度は海綿由来のペプチドテオネラマイドF、タツナミガイ由来のドラスタチン10、そしてラン藻由来のマイクロギニンをとりあげ、それぞれの合成研究を行った。テオネラマイドFについては、種々の構成異常アミノ酸を構築し、これらを用いて二つの環状構造の片方の環を含むフラグメントを二つとも合成することに成功した。ドラスタチン10については、そのC端ドラフェニンの効率的不斉合成を検討し、ハイドロキシピナノン(HyPN)をキラル補助基とするジアステレオ選択的不斉合成を検討し、好結果を得た。最後にマイクロギニンについては、異常アミノ酸である3-アミノ-2-ハイドロキシデカン酸の4つの異性体をすべて合成し、これらを含んだマイクロギニンをすべて合成し、マイクロギニンの絶対配置を合成的に決定した。
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