粘膜を経ての薬物の吸収を促進する物質の促進機構を検討するために、鼻腔粘膜、口腔粘膜、直腸粘膜のうち、今回は鼻腔と口腔を用いることとし、動物としてはウサギなどをin vivoで用いた。 非イオン性物質としてはd-リモネン、ιーメントールのリドカイン透過、酸性物質としてはグリチルリチンのナトリウム塩につき、インスリン、グルカゴンの鼻腔粘膜吸収促進を確認しているので、今回は塩基性基を含む物質の検討に入ったが、塩基性物質には生理活性があるものが多いので、それ自身は吸収されない塩基性高分子を用いることとし、天然高分子としてキトサンに注目した。分子量も異なるものを含み、数種類のキトサンを入手して、そのままでは吸収しにくい水溶性薬物の鼻腔粘膜を経ての吸収を促進する効果があるか検討している 実験動物としては取り扱いやすいウサギを用いることにしたが、鼻腔に滴下した薬物溶液の流失によるロスを少なくするための検討が必要であったが、星薬科大学の米谷らの方法をモディファイして用いた。水溶性薬物としては定量の感度の面から蛍光を測定できるリボフラビンのリン酸エステルが溶解度がリボフラビンより高いので用い、水溶液を鼻腔粘膜へ滴下する方法を用いた。キトサン共存でやや透過/吸収の増加を認めているが、高分子のための粘度の影響の考察も必要である。 口腔粘膜透過は、循環器用薬ジルチアゼムについて検討している。
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