研究概要 |
キトサンはアミノ基を含む多糖類であるが、塩基性高分子化合物の例として経粘膜吸収の促進効果を検討した。分子量が大きいキトサンは水への溶解度に限度があるので、分子量が小さいキトサンも含めて検討した。ペプチド類のモデルとして、水溶性薬物で定量しやすいリボフラビンのリン酸エステル(分子量478)を用いた。 キトサンとしては各社から提供されたサンプルのうち、水溶性の高い4種を用い、ウサギの鼻腔粘膜からのリボフラビンの吸収に及ぼすキトサン添加の影響を比較した結果、Daichitosan VL>Chitosan micropower栗田工業 Chitosan C-9>栗田工業Chitosan C-16の順序でバイオアベイラビリティーの増加が大きかった。 他のキトサンは水への溶解度が1%程度しかないので、溶解度が大きい Chitosan C-9 を用いて濃度の影響を検討した結果は、0.5%,1%,2%の範囲では0.5%が最大であった。 ポリペプド類の代表としてインステリンの経鼻腔吸収の検討では、インスリン単独時に比較してキサトンの添加時に血糖値がより下がることが示された。 酸性高分子である架橋ポリアクリル酸との比較では、キサトンの方が吸収促進作用が小さいことが示された。 アズレンの関連化合物エグアレンのインスリンおよびサケカルシトニンの経鼻腔吸収促進効果の検討において、1%および3%の添加でインスリンのバイオアベイラビリティを5.0倍,13.3倍,サケカルシトニンの効果を3倍程度増加することが示された。
|