研究概要 |
リドカインを水性ゲルに溶解して皮膚に塗布すると良好に皮膚に移行しヒト成長ホルモン注射時の注射針刺入による疼痛を緩和した。 ジルチアゼムは消化管から良好に吸収されるが、口腔粘膜を経ての吸収は大きくはないので、急速に溶解させて、口腔内の溶液の濃度を高くして、吸収速度を上げることが、血中での有効濃度へ達するために必要であった。 アムホテリシンBは分子量が924程とやや大きいこともあり、吸収率が小さいので消化管吸収をより再現性良くするために、乳剤などの製剤的工夫が必要だが、成人と小児との差は見いだせなかった。 キトサンはアミノ基を含む多糖類であるが、塩基性高分子化合物の例として経粘膜吸収の促進効果を検討した。分子量が大きいキトサンは水への溶解度に限度があるので、分子量が小さいキトサンをも含めて検討した。ペプチド類のモデルとして、水溶性薬物で定量しやすいリボフラビンのリン酸エステルを用い、キトサンとしては各社から提供されたサンプルのうち、水溶性の高い4種を用い、ウサギの鼻腔粘膜からのリボフラビンの吸収に及ぼすキトサン添加の影響を比較した。溶解度が大きいChitosan C-9を用いて、濃度の影響を検討した結果は、0.5%,1%,2%の範囲では0.5%が最大であった。ポリペプチド類の代表としてインスリンの経鼻腔吸収の検討ではキトサンの添加で血糖値が下がることが示された。 アズレンの関連化合物エグアレンのインスリンおよびサケカルシトニンの経鼻腔吸収促進効果の検討において、1%および3%の添加でインスリンのバイオアベイラビリティを5.0倍,13.3倍,サケカルシトニンの効果を3倍程度増加することが示された。
|