研究課題/領域番号 |
06453201
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
森山 裕丈 京都大学, 原子炉実験所, 教授 (90127150)
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研究分担者 |
東 邦夫 京都大学, 工学部, 教授 (30026017)
田中 愛子 京都大学, 原子炉実験所, 助手 (70027449)
西川 佐太郎 京都大学, 原子炉実験所, 助手 (60027430)
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キーワード | ネプツニウム / 超ウラン元素 / 加水分解 / 錯生成 / 溶解度 / 炭酸錯体 / フミン酸 / 放射性廃棄物処分 |
研究概要 |
ネプツニウムをはじめとする超ウラン元素の地中移行挙動は、高レベル放射性廃棄物深地層処分の安全性評価上きわめて重要な要素である。原子力先進諸国の処分開発プログラムでもこれらを重視した研究開発体制が組まれている。しかしながら、これらの元素は一般に処分環境下の水溶液中で複雑な化学挙動を示し、その解明はいまなお不十分である。超ウラン元素は、その特有の化学的な特性から、酸化還元条件に鋭敏であり、水溶液中で加水分解反応や錯生成反応を起こしやすいのである。 申請者らは、従来から、処分環境下の水溶液中における超ウラン元素の化学挙動を明らかにするため、特にネプツニウムについて実験的な研究を進めている。本研究においては、これらの研究に引続き、超ウラン元素の加水分解と錯生成反応についてさらに検討を深めることを目的とした。前年度は、熱力学データの理論的検討、Np(VI)の加水分解反応と錯生成反応の測定、フミン酸によるNp(V)の錯生成反応の測定などを進め、一定の成果を得た。本年度は、研究の目的を岩石への吸着挙動の解明へと展開して、以下の成果を得た。 Np(V)の石英への分配係数は、pHの増加とともに増加し、イオン強度の増加とともに減少することが報告されている。これらの依存性を物理的な観点から明らかにするため、電気二重層モデルを適用して検討した。その結果、モデルは妥当なものであり、Np(V)の分配係数の依存性は石英表面で競争して起こるいくつかの吸着平衡反応を考慮することにより説明できることが明らかとなった。Np(V)の吸着反応の平衡定数などを求め、吸着のメカニズムを推定した。また、比較検討のため、Gsの石英への分配係数を測定し、同様のモデルを適用して解析した。結果は良好であり、モデルの有望性が確認された。
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