研究概要 |
1.高温かつ雰囲気制御下で表面水酸基を拡散反射赤外吸収による観察する装置を用いて、800℃までの温度において、Li_2O表面のOD伸縮振動を観測した。この結果、3300〜2450cm^<-1>の波数領域に、合計7ケの吸収ピークが観測された。複数のピークが観測されたことより表面はD_2O吸着に対して均一でないこと、又、雰囲気ガス組成依存性があることより表面状態が酸素ポテンシャルによって変化することが確かめられた。これらのピーク強度の温度依存性、D_2/D_2O圧比(酸素ポテンシャル)依存性、H_2、H_2Oとの交換反応等より、Li_2O表面での-OD存在状態について検討した。 また、量子化学的ab-initio計算によりLi_2O表面のOD存在状態について解析し、実験で観察された現象が計算によっても示されるとともに、表面アサインメントへのサポートとなった。 2.原子炉照射下高温かつ雰囲気制御下で、欠陥による発光とトリチウム放出を同時に測定する装置(垂直型と横型)を製作した。横型では試料量を最大5gまで用いことによりトリチウム放出測定精度が向上するとともに、発光を直接レンズで集光することによりより正確な発光分析が可能である。これらにより、原子炉照射下高温かつ雰囲気制御下発光測定により、F^O,F^+,F_2,self-trapped excitioni起因するする発光が見られ、その温度依存性、雰囲気依存性より欠陥生成消滅メカニズムが明らかにされた。また、トリチウム放出と発光の相関について、温度変化、雰囲気ガス組成変化より調べ、特に後者について有意義な相関が認められた。 3.以上のことを踏まえて、表面反応と欠陥との相互作用を考慮したトリチウム放出モデルを作成した。
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