研究概要 |
本研究は、廃棄物処分場浸出水中に含まれる有害汚染物質に関する調査を行い、浸出水中の有害汚染物質の現状を把握し、その上で対策手法への知見を与えることを目標として検討を行った。本年度の検討では、主に浸出水中の有害重金属類と関係する水質指標項目に関する予備実験を行った。 まず最初の検討として、試料中の有害金属の概要を把握するため、ICP/MSによる検討を行った。装置は機器メーカーにて借用した。この結果、例えば、山間埋め立てと称する浸出水試料には、Co,Ni,Cu,Zn,Ga,Ge,As,Rb,Sr,Y,Zr,Nb,Mo,Pd,Ag,In,Sn,Sb,Cs,Ba,Ce,Gd,Ho,Ta,W,Pb,Thなど、非常に多くの元素が10ng/L〜100μg/L程度の濃度で含まれることがわかった。このことは、浸出水において、一般の水質規制重金属類は当然であるが、これ以外の多くの元素についてのさらに詳細な調査を行う必要があることを示すと考えられる。この課題については次年度以降の本研究課題において検討する予定である。 有害重金属の一般分析においては、本年度別経費にて新規に購入したフレームレス原子吸光分析装置を使用することとした。しかし、特に汚染度程度の著しい試料を本装置で分析する場合には、共存成分による妨害が非常に大きく、ほぼ各試料ごとに最適測定条件を検索しなければならなかった。本年度の検討により、ほぼ試料ごとの最適化条件は固まってきたので、次年度以降の課題で、特に規制重金属の調査を本装置を用いて行い得る基礎を作ることが出来た。 来年度以降の研究においては、本年度の予備的な検討結果を利用して、組織的な浸出水の水質に関する調査を行うことを目標とする。
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