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1996 年度 実績報告書

海底洞窟動物群の原始性とその起源

研究課題

研究課題/領域番号 06454003
研究機関国立科学博物館

研究代表者

加瀬 友喜  国立科学博物館, 地学研究部, 室長 (20124183)

キーワード海底洞窟 / 進化 / 生きた化石 / 南西諸島 / 軟体動物 / サンゴ / 甲殻類
研究概要

1.平成7年度に引き続き、南西諸島の海底洞窟調査を行った。主な調査地域は久米島で、3箇所の海底洞窟から底質サンプルの採取、軟体動物およびカイメン類の生体の採取を行った。
2.平成6年度までの研究から、海底洞窟には洞窟外の浅海域や深海域とは異なる特異な二枚貝群があることが判明していた。本年度は巻貝類についての分類学的研究を進めた。その結果、巻貝類は二枚貝類とは異なり、海底洞窟の種(例えばカクレヨウバイ)のかなりのものは、近隣の深海域(〜250メートル)にも生息していることが解かった。即ち、海底洞窟動物群の一部は、深海域から由来したことになる。
3.久米島の海底洞窟から、これまで同じく南西諸島の伊江島にのみ産出し、この島固有の種と思われていたイエジマケシフミガイ、ウチマシラスナガイモドキの生息が確認された。この結果、海底洞窟の貝類群(特に二枚貝群)は、それぞれの海底洞窟での固有性が明確に認められないことが明かになってきた。この現象は北西太平洋の海底洞窟の間でも同じで、深海底によって遠く隔てられた海底洞窟の間でも、稚貝が親の体内で保有されるような種が、何らかの方法で移動したことを物語っている。これらの種は深海域からの報告はなく、したがって、この伝播の方法は、足糸などで浮遊物に付着して運ばれるraftingが最も可能性が高いと考えられる。
4.ニューカレドニアから発見された石灰カイメンVaceletia crypticaが伊江島、久米島の海底洞窟からも確認された。これは、北西太平洋からの始めての記録である。その結果、この海底洞窟に特有な生きている化石動物が西太平洋の熱帯・亜熱帯域に広く分布することが明かとなった。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] Kase,T.: "A nassariid gastropod from the submarine caves of Okinawa,Japan and Bohol,philippines : toxonomic status of Nassa cinnamomea A.Adams,1852" Venus. 55(3). 199-205 (1996)

  • [文献書誌] Kase,T.: "A new species of the family Ungulinidae from Wakkanai,Hokkaido,Japan" Venus. 55(2). 97-103 (1996)

  • [文献書誌] Kase,T.: "New species of Patellogastropoda (Mollusca) from the Cretaceous of Hokkaido,Japan and Sakhalin,Russia" Journal of Paleontology. 70(5). 762-771 (1996)

  • [文献書誌] Hayami,I.: "Characteristics of submarine cave bivalves in the northwestern Pacific" American Malacological Bulletin. 12(1,2). 59-65 (1996)

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公開日: 1999-03-08   更新日: 2016-04-21  

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