研究概要 |
MHCクラスIIのPd遺伝子座近傍のホットスポットについては、組換え切断部位の分子マッピングが進み組換え部位の境界がさらに狭くなり、今後このホットスポットを塩基配列レベルで解析できる可能性が出てきた。現在、さらに組換え部位の領域を狭めている。 MHCクラスIII領域の組換えは、合計20,000頭のマウスをスクリーニングして得られた約80の独立した組換え体を基に解析した。この結果、1メガベースの長さの中に組換えを起こす領域と組換えが全く見られない領域が明瞭に区別できることがわかった。減数分裂が同調的に進行する雌マウス発生胚の卵巣から調製した単一の生殖細胞を材料としてPCR法でホットスポット部位のDNA断片を増幅する実験系を確立した。この系で単一細胞中の組換え型染色体を直接検出することが可能となった。ホットスポットの減数分裂期におけるクロマチン構造については、主に、DNaseIに対する感受性を指標とした実験により、ホットスポットによってクロマチンがオープンになっているものとそうでないものがあり酵母で見られたようなホットスポットとクロマチン構造間の相互関係は無いと結論された。この点は、高等脊椎動物における組換えの開始機構を考えるうえで興味深い。
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