大型珪藻類(目合100μmのネットに瀘しとられたものをここでは大型珪藻類と呼ぶ)の試料は、研究船の白嶺丸(1994年4月から6月)および白鳳丸(1994年11月から1995年1月)の中・西部太平洋航海に参加して、南極海を含む南から北の異なった海域でプランクトンネットの鉛直引きおよび大量採水試料のろ過により得た。加えて、白鳳丸では航走中に船底から常時取水し、プランクトンネットで試水中の大型珪藻を瀘しとって試料を得た。中世ホルマリンで固定したそれぞれの試料中に出現する大型珪藻類の種を研究室に戻ってから光学顕微鏡で観察同定し、さらにその細胞密度と細胞容積から種ごとの生物量を求めた。物理・化学的な水質の違いと流れの特徴などから、試料を得た水域を水塊区分し、異なった複数水塊に出現した種については、光学顕微鏡観察を丁寧に行うだけではなく、走査型電子顕微鏡により細胞の外部形態の詳細観察を行って種の同一性を検討した。その結果、中部北太平洋では植物プランクトン群集内での大型珪藻種の非優占性が確認されさらにその程度も定量評価され、あわせてその特徴的な水平・鉛直分布が明らかとなった。これらの結果は纒めて1994年10月に北海道の根室市で開かれたPICES国際会議で発表した。また、その一部を英文論文として纒めて専門国際誌に発表する準備を進めている。さらに、種ごとの分布範囲の広さについてもごく限られたものから広大な海域に出現する種まで興味ある結果が得られ、これらは1995年4月に開催予定の日本海洋学会春季大会で一部を口頭発表する予定である。
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