研究概要 |
材料としてもちいる植物種のうち、既にマイクロサテライトマーカーの開発に着手し成功している植物オニドコロ、フタバガキ、シロイヌナズナについては、新たに作成されたマイクロサテライトマーカーを用いて解析が行われた。フタバガキ、オニドコロの両種のマイクロサテライト多型に関しては、その成果がすでに遺伝学雑誌(Jpn.J.Genet.69:567-576,1994)、ゲノム(Genome37:794-801,1994)に発表されている。シロイヌナズナの日本国内の12集団について、既存のマイクロサテライト・マーカー29座位についてスクリーニイングを行った。その結果、日本国内の集団間に著しい変異の存在が明らかとなった。Col,WSなど実験系統を含む野性集団の近隣結合法による解析の結果、著しく変異パターンの異なる4つの集団群が識別された。その内、福井、石川、富山、広島の4集団は小型で、花弁が明瞭に裂開しない花をつけ、葉はへら形で葉柄が発達せず、ロゼット葉の枚数が多く、Colなどの実験系統に類似するのに対し、新潟、秋田、酒田、山形、徳島、京都などの集団構成個体は花弁がよく裂開する大型の花をつけ、葉柄がよく発達する独特な小型で卵形の葉をつける独特な形質を保有することが判明、少なくとも日本国内には2型の集団が存在することが明らかにされた。その成果は論文として、現在遺伝学雑誌(Jpn.J.Genet.)に投稿中である。
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