研究概要 |
既に抗CDPK抗体を用いるスクリーニングによって、ドナリエラCDPKをコードする3つのcDNA(DPK1-3)を得ていたが、これらの5′末端側塩基配列を決定した。これらから推定されるアミノ酸配列には、いずれもプロテインキナーゼ活性ドメインと相同性の高い領域を含み、DKP3にはATP結合部位が存在した。E.coli内で発現したDPK3の組み換え体蛋白は、CDPKより僅かに低い分子質量をもち酵素活性とCa^<2+>結合能をを示した。このcDNAは全長を含まないのでこれをプローブとして新たにcDNAライブラリーをスクリーニングして、より長鎖長のクローンを得た。この塩基配列の決定が進行中である。 基質蛋白を含むゲルを用いるSDS-PAGE(ゲル内測定法)によって、ドナリエラに低浸透圧ショックを与えると、MBPとヒストンをリン酸化するがカゼインはリン酸化できない40-kDaプロテインキナーゼ(LAPキナーゼ)が一過的に活性化されることを見いだした。一方,高浸透圧ショックではカゼインとヒストンをリン酸化するが、MBPは基質としない40-kDaプロテインキナーゼ(HAPキナーゼ)が急激に活性化された。これらの活性化はK-252aとスタウロスポリンによって抑制されたので、これらキナーゼのリン酸化による活性調節が示唆された。また、抗ホスホチロシン抗体はこれらのキナーゼと交差反応を示さなかったので、MAPキナーゼの様なチロシン残基のリン酸化による制御は受けないと推測された。 汽水産車軸藻シラタマセの原形質に抗CDPK抗体を注射すると、膨圧調節が阻害されたことから、CDPKの生理機能の一つとして膨圧調節との関与が示唆された。
|