先年度に得た長鎖長のCDPKをコードするcDNAの全塩基配列を決定した。オープンリーディングフレームは638アミノ酸をコードし、この値はSDS-PAGEで見積もられた精製酵素の質量60-kDaから予想されるアミノ酸数よりもかなり大きかった。塩基配列から演繹列をもち、両者に挟まれて偽基質ドメインが存在する典型的なCDPKのものであった。一法で精製CDPK蛋白質をV8プロテアーゼで分解いて得た3つのペプチド断片のアミノ酸配列を決定した。いずれのアミノ酸配列もcDNAの全塩基配列から演繹したアミノ酸配列の一部と一致したので、得られたcDNAは精製CDPK蛋白質のmRNAを相補するものであることが明らかになった。 ドナリエラとシラタマモで予想された、低浸透圧ショックによる細胞礎質カルシウムイオン濃度の上昇が、カルシウム特異性発光蛋白エクオリン形質導入したタバコ培養細胞を用いて認識された。また、タバコ細胞においても藻類で観察された低浸透圧に応答したプロテインキナーゼの活性化が示された。しかもこれらのキナーゼの活性化には細胞礎質カルシウムイオン濃度の上昇が必須であることを明らかにした。タバコ細胞にもCDPKの存在が確認され、CDPKはカルシウムによって活性化を受けて、浸透圧に応答して活性化されるキナーゼの活性化に関与すると推察された。
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