研究概要 |
1.チラコイド膜結合型NDH活性測定法;らん藻Synechocystis PCC 6803よりチラコイド膜を単離し、活性測定法を検討した。NDH活性はa)クロロフィル蛍光収率b)P700の酸化還元c)メチルヴィオロゲン依存のMehler反応d)340nm吸光度変化を指標として測定可能であった。 2.単離・精製;粗抽出液の活性染色の結果、NADPHに特異的で高分子量の活性およびNADHをも基質とする低分子量の活性が見出された。まず、後者を単離・精製した。単離した酵素は約30kDaの分子量をもち、NADPH,NADHに対するkm値はそれぞれ12.4,46.8μMであった。N末配列30残基は、Salmonella typhimuriumのnitroreductaseN末配列と46%のホモロジーがあり、FNR,DTdiaphorase,complex IタイプのNDHとのホモロジーはなかった。ロテノン、アミタール、SHAM、Dicumarolによる阻害はなかったが、NEMには感受性であった。キノンタイプの化合物に対する高い反応性から、膜に結合した新規のNAD(P)H-quinone oxidoreductaseであると推定された。 3.高等植物の循環的電子伝達;光照射後のクロロフィル蛍光の一時的な上昇から、循環的電子伝達活性を推定する方法を開発した。また、トウモロコシ葉では、アンチマイシンに阻害されるチトクロムb_<559>が循環的電子伝達に関与することを明らかにした。
|