研究課題/領域番号 |
06454018
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研究機関 | 理化学研究所 |
研究代表者 |
長谷 あきら 理化学研究所, フロンティア研究システム, 研究員 (40183082)
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研究分担者 |
阪本 康司 理化学研究所, フロンティア研究システム, 研究員 (70261162)
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キーワード | フィトクロム / 光形態形成 / 遺伝子導入植物 / 伸長成長 / シロイヌナズナ / 単クローン性抗体 / 過剰発現 |
研究概要 |
フィトクロムB遺伝子(PHYB)のcDNA断片をRT-PCR法により増幅し、CMV-35Sプロモーターの下流に組み込み、Agrobacteriumを用いた方法でシロイヌナズナに遺伝子導入した。cDNA断片としては、情報伝達に関与すると推定されるC末端側半分を中心に7種調製した。また、発現した蛋白質の細胞内分布を簡便に調べるため、それぞれのcDNAに直接GS遺伝子をつないだものについても同様の実験を行った。得られた形質転換体の光反応を下胚軸の伸長抑制を指標に検定したところ、フィトクロムB(PhyB)のC末端側半分に位置する分子量約6万の断片を発現・蓄積している植物では、PhyBの反応である赤色光下での光反応が野性株に比べ強まるのに対し、フィトクロムA(PhyA)による近赤外光下での反応がやや阻害されていることが認められた。また、暗所では野性種と区別がつかなかった。さらに、抗シロイヌナズナ・PhyB特異的単クローン性抗体を新たに調製し(日本植物生理学会にて発表予定)、これらの遺伝子導入植物を調べたところ、正常レベルのPhyBとそれよりやや多い量のPhyB断片が蓄積していた。この研究により、PhyB断片が、PhyBのみならすPhyAの反応にも影響することが初めてわかった。(日本分子生物学会にて発表;投稿準備中)。しかし、PhyBに対する影響(促進)とPhyAに対する影響(阻害)の方向は反対で、その正確な作用機構はよくわからない。また、GUS遺伝子をつないで発現させたもののなかに、PHYB遺伝子の突然変異体であるhy3による似た植物が複数見いだされたが、これらの植物では内在性のPhyB量が低下しており、いわゆるcosupressionが起きているのではないかと考えられた。現在は、GUSをつないだPHYB断片の細胞内分布を組織染色により調べている。
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