1 ブタ下垂体900個より核タンパク質を抽出し、イオン交換体ならびにヘパリン樹脂を担体としてFSHβ遺伝子上流に結合するタンパク質の精製を行った。結合タンパク質は複数の成分からなり、その量はせいぜい数+μgであった。最終的に、ポリアクリルアミドゲル電気泳動により分離しゲルからの抽出を行った。こうして調整したタンパク質19画分についてウサギへの免疫を行い、抗血清を作製した。下垂体抽出物に対するウエスタンブロットによる分析の結果、作製した抗血清の多くは必ずしも単一の成分を認識するものではなく、用いた抗原が依然として不純物を含むものと考えられた。一部、ほぼ単一の分子を認識する抗血清がある事も判明した。今後、これを用いた発現クローニングを進める。 2 FSHβ遺伝子上流に結合するタンパク質の結合特異性について、判明している100塩基部分をさらに細かく解析した。既知の制御配列6種のオリゴヌクレオチドとの結合競合実験を行い、これまでに確認している結合の特異性を再確認した。 3 発現ベクターに組み込んだ下垂体前葉のcDNAライブラリーを大腸菌で発現させ、標識したFSHβ遺伝子上流断片をプローブとして特異的結合因子のクローニングを行った。 4 2量体を形成する転写調節因子についてその分子性状を明らかにするため、酵母菌を用いたtwo cell hybrid systemによるクローニングを計画し、発現ベクターを構築した。 5 FSHβ遺伝子上流とレポーター遺伝子を連結し作製したキメラ遺伝子をマウスの受精卵に導入し、トランスジェニックマウスの作製を行った。その結果、遺伝子導入が確認されたマウス1系統ができ、さらに作製を進めている。
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