研究課題/領域番号 |
06454022
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研究機関 | 岡崎国立共同研究機構 |
研究代表者 |
長濱 嘉孝 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 教授 (50113428)
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研究分担者 |
小林 亨 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 助手 (30221972)
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キーワード | ウナギ / 精子形成 / 生殖腺刺激ホルモン / アクチビンB / 精原細胞 / リ-ケトテストステロン / セルトリ細胞 / 器官培養 |
研究概要 |
これまでの研究で我々は、ウナギの精子形成は脳下垂体から分泌される生殖腺刺激ホルモンの作用により精巣のセルトリ細胞で生成されるアクチビンBの働きで起こることを示した。本研究の目的は、このアクチビンBがセルトリ細胞で生成される機構、及びアクチビンBが精原細胞に作用して精子形成が誘起される仕組みを分子・細胞レベルで明らかにすることである。今年度はまず、ウナギ未熟精巣をヒト胎盤性性腺刺激ホルモン(HCG)や11-ケトテストステロンとともに6日間器官培養し、その間におけるアクチビンA、B、ABの生産量をフレンド細胞の赤血球への分化促進能を指標として調べた。その結果、アクチビンBの生産量はHCGと11-ケトテストステロンのいずれによっても著しく増進されることが明らかになった。しかし、アクチビンAとAB生成量はアクチビンBの生成量に比して著しく少なく、また培養期間における変動もまったく認められなかった。また、ラジオイムノアッセイとノーザンブロット解析により、HCGはライディッヒ細胞での3β-ステロイド水酸基脱水素酵素遺伝子の転写活性を高めることにより11-ケトテストステロンの生成を促進することが判明した。したがって、HCGによるアクチビンB生成促進作用はセルトリ細胞に直接的ではなく、ライディッヒ細胞における11-ケトテストステロンの生成を介していると考えられる。また、ウナギ未熟精巣を大腸菌で合成させたヒトのアクチビンBと器官培養すると、精原細胞には活発な細胞分裂が起こった。しかし、精原細胞とヒトアクチビンBを細胞培養しても精原細胞の分裂増殖は認められず精子形成も起こらなかった。現在、ウナギアクチビンBの合成およびアクチビンB受容体のクローニングを行っている。
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