研究課題/領域番号 |
06454030
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
清水 建美 金沢大学, 理学部, 教授 (90021203)
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研究分担者 |
植田 邦彦 金沢大学, 理学部, 助教授 (60184925)
山口 和男 金沢大学, 遺伝子実験施設, 教授 (00019879)
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キーワード | 塩基配列 / 高山植物 / 植物地理学 / DNA地理学 / ヨツバシオガマ |
研究概要 |
本研究は隔離効果が強くDNAの種内多型が期待される高山植物を対象に、起源・伝播経路・分布パターンの成立過程といった生物地理学的課題をDNA情報を導入することによって解明し、DNA地理学に先鞭をつけることを目的としている。 本年度は昨年度のエゾコザクラによる成果に続き、42種210試料について葉緑体DNAのtrnLとtrnFの遺伝子間領域、3種34試料についてtrnL遺伝子のイントロン領域の塩基配列を解析したところ、アキノキリンソウ・コケモモ・ヤナギランなどの植物は、多型はあるものの地理的なまとまりは認められず、イワオウギ・イワツメクサ・ミヤマアズマギクなどでは北海道と本州の集団間にも多型はなく、また、ヒメクワガタやミヤマゼンコなどでは同一種内の変種間にも多型はなく、エゾウスユキソウとハヤチネウスユキソウでは異種間であっても多型は認められず、葉緑体DNAの変異の現れ方分類群によりさまざまであることが判明した。とこれが、ヨツバシオガマ群においては11の葉緑体DNAの多型が検出され、塩基配列の違いによって最節約樹を作成したところ、ヨツバシオガマは全体として単系統を示すこと、これらは東北・北海道群と中部山岳群に大きく2分されること、東北・北海道群は多分岐ではあるが6群に分けられること、中部山岳群は日本海側山岳、南アルプス・八ヶ岳、白山、御岳、木曽駒ヶ岳の各群に細分され、地域ごとにまとまりのある分化をしていることなど生物地理学的に意義深い情報をうることができた。 一方、この種の研究では対象植物が常に大量に入手できるとは限らず、少量の材料から効率よくDNAを抽出、増殖させる方法が求められる。このような実験方法についても研究、実施した。
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