1.硫黄酸化細菌による硫化水素の処理 海底鉱物資源の微生物的処理システムにおける余剰硫化水素の酸化(無害化)を目的として、硫黄酸化細菌Thiobacillus thiooxidansによる硫化水素の液相酸化実験を連続式反応器を用いて行い、空間速度(希釈率)を変化させて比増殖速度および菌体収率を測定した。比増殖速度の実測値の基質濃度依存性から本系に対してモノ-型の増殖速度式が適用できることが明らかになり、Lineweaver-Burkプロットに基づいて最大比増殖速度と飽和定数を求めた。 2.マンガンノジュールの微生物的処理 微生物的処理システムを構築する三つの単位反応操作、i)好熱性細菌Acidianus brierleyiによるノジュールからの有価金属の浸出、ii)硫酸還元細菌Desulfovibrio desulfuricansの生成する硫化水素を利用した浸出液からの有価金属の硫化物としての沈殿・回収、iii)硫黄酸化細菌による余剰硫化水素の酸化について速度論的検討を加えて、各操作の処理速度を定量的に把握した。その結果、三種の異なる微生物反応操作のうちで、ノジュールの微生物浸出が律速段階になることが判明した。従って、マンガンノジュールからの有価金属回収に対して本微生物反応システムを適用すれば、銅や亜鉛に関しては3日以内の処理でほぼ完全に回収でき、コバルトやニッケルに関しては10日程度の処理で80%前後が硫化物として回収できることが明らかになった。
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