研究概要 |
ブラシカ(Brassica)属においては、B.campestris(AA)を用い、アイソザイム遺伝子と分子(RAPD)マーカーを標識として、連鎖地図の作成を行ったところ、その半数性染色体数と同じ10の連鎖群が得られた。その遺伝子地図上の抽苔性、葉形、欠刻の程度、毛茸の有無および自家不和合性といった形態的・生理的形質に関与する遺伝子を位置付けることができた。抽苔性に関与する遺伝子のうち、Got-1、Pox-3というアイソザイム遺伝子に連鎖している遺伝子は春化条件より長日条件に反応することが明らかとなった。また、クロガラシ(B.nigra,BB)のアイソザイム遺伝子の同定を行い、5領域のアイソザイムバンドがそれぞれ一つの遺伝子座の対立遺伝子によって支配されていることがわかった。このように、分子マーカーおよびアイソザイムマーカーの染色体上の位置が明らかになったことにより、有用形質のマッピングが容易になったと共に、ブラシカ属における異数体系統の同定が可能となった。現在、ブラシカ属の4倍性種と2倍性種との交配により3倍体を得ている。これを2倍性種と交配することにより異数体を得たいと考えている。 ネギ(Allium)属においては、分子マーカーを利用して日本在来のネギ品種を分類し、系統関係を明らかにすると共に、品種特異的なマーカーを見いだすことができた。また、分子マーカーの染色体上の位置を知るための方法として、in situ hybridizarion法を試みた。プローブとしてコムギのrDNAを用いたところ、ネギ、ヤグラネギ、アサツキにおいてrDNAの位置を明らかにすることができ、種によってその大きさ、座乗する染色体の形態が異なることがわかった。さらに、ヤグラネギとタマネギの複二倍体であることが判明したセイタカネギにネギを交配し、3倍体の植物を得た。今後この植物体を利用して、異数体系統を作成し、遺伝分析に用いる予定である。
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