研究概要 |
ダッタンソバは普通ソバと比較して,収量性,耐寒性,耐乾性等に優れていると見なされているが,ダッタンソバに関する研究例はきわめて少ない.本研究はユーラシア大陸各地から収集した約280余のダッタンソバ栽培系統を材料として諸形質間の関係を明らかにし,有用系統を探索し,さらにそれらの栽培可能地域を検討することを目的としたものである. 平成6年度においては,圃場条件下で237系統を供試し,開花,生育・収量性,草型について調査を行い,収集地の物理的条件と諸形質間の関係を明らかにした.これにより,ダッタンソバ系統における諸形質の変異の大要が把握されたと考えられる.また,これらの系統から地域,特性を考慮した20系統を選び,圃場条件で播種期を移動させ供試栽培し,播種期,年次間における日長,温度等の環境条件の違いが開花,生育パターン,収量性,草型等におよぼす影響を調査し,解析はほぼ完了しつつある. 粒形質について,粒形に関しては,フーリエ解析を応用した画像解析を行い,粒形群の分類を行うとともに,地域間差異について検討し,いくつかの知見が得られた.粒色に関しては色差計を用い,粒色群の分類と,その地域間,系統間差異について解析中である. ダッタンソバのルチン成分分析に関しては,種子ならびに葉中に含まれるルチン含量をHPLCによって定量し,系統間,系統内変異を明らかにした.また,苦み成分に関しても探索を試み,その成分構造を同定しつつあり,成分育種を行うにあたり基礎的なデータが得られるものと思われる. 現在,膨大なデータがすでに得られているが,さらにその解析を進めるとともに,温度,光条件の制御環境下における生育反応性を調査する予定である.
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