研究概要 |
平成7年度は,平成6年度の結果から明らかになった水上栽培に適する種の中から,カンナ,シュロガヤツリの2種を対象に水上栽培におけるバイオマス量,水質浄化能を土耕栽培と比較した.またカンナを対象に生長解析,光合成測定を行い水上栽培植物の特性から明らかにした.さらに数種植物の根の組織構造を土耕栽培と比較した. その結果,(1)カンナ,シュロガヤツリとも土耕栽培に比べて水上栽培ではバイオマス生産が顕著で,カンナで4倍,シュロガヤツリで5倍の値が得られた.植物体の窒素分析から,窒素含有率とバイオマス量を乗じた両植物の水中からの窒素収奪量は大きく水質浄化能の高いことが明らかになった.特に,シュロガヤツリは窒素以外にリン,カリの含有率が高く,水中からのリン,カリの収奪量が顕著で両成分のクリエーターになることが判明した. (2)水上栽培したカンナの高いバイオマス生産は葉面積生産速度の大きいことに加えて単位葉面積当り乾物生産速度(NAR)が高いことによることが生長解析からわかった.さらに高いNARは光合成速度が水上栽培カンナで大きい為であること,高い光合成速度は気孔を介してのCO_2拡散系と葉肉組織における高いCO_2固定能力にあることが要因解析から明らかになった. (3)水上栽培植物は土耕栽培植物に比べて根の破生組織がよく発達する傾向がみられたが,これには種間差がみられ,双子葉植物に比べて単子葉植物で発達が著しかった.また破生組織の発達と根の比重との間に高い相関関係がみられた.
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