平成6年度に引き続き野生種Allium galanthum A.oschaniniiおよびA.vaviloviiが染色体提供親であるネギの単一異種染色体添加をさらに作出するために、ネギと野生種の三倍性雑種にネギを交配した後、胚珠培養を行い、24個体の実生を得たので、これらについて染色体調査行った結果、3個体が2n=17であった。これらはいずれもA.galanthum(2n=16、ゲノムGG)が染色体提供親であるネギ(2n=16、FF)の単一異種染色体添加系統(2n=17、FF+nG)であった。 ネギおよび野生種の葉から抽出したDNAを40種類のランダムプライマーを用いたPCR法により増幅したDNA断片の多型(RAPD)を調査し、ネギと野生種間の遺伝的マーカーとして利用できる非共有DNA断片(RAPDマーカー)を検索した結果、三つの野生種それぞれについて94、121、145のRAPDマーカーが確立された。 平成6年度および本年度に作出したA.galanthumが染色体提供親であるネギの単一異種染色体添加系統(FF+nG)4個体を用いて、10種類の酵素(GOT、PGI、PGM、LAP、MDH、G6PDH、IDH、GDH、6PGDH、SKDH)のアイソザイム分析を行った結果、2個体がPGM(ホスホグルコムターゼ)のザイモグラム上でA.galanthumに固有な対立遺伝子によって発現されるアイソザイムバンド(アイソザイムマーカー)を持っていた。現在、さらに他の酵素のアイソザイムを分析中である。 同じく単一異種染色体添加系統(FF+nG)4個体を用いて、10種類のランダムプライマーによるRAPD分析を行った結果、1個体で添加染色体(nG)に座乗している三つのRAPDマーカーが検出された。
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