研究概要 |
平成7年度に引き続き野生種Allium galanthum,A.oschaniniiおよびA.vaviloviiが染色体提供親であるネギの単一異種染色体添加をさらに作出するために、ネギと野生種の三倍性雑種とネギとの正逆交雑を行った後、胚珠培養を行い、112個体の実生を得たので、これらについて染色体調査行った結果、9個体が2n=17であった。その中の1個体は A.galanthum(2n=16、ゲノムGG)の6番目の染色体(6G)が添加されたネギ(2n=16、FF)の単一異種染色体添加系統(2n=17、FF+6G)であり、また、1個体はA.vavilovii(2n=16、ゲノムVV)の4番目の染色体(4V)が添加されたネギの単一異種染色体添加系統(2n=17、FF+4V)であった。残りの7個体では核型の異常が観察された。 ネギおよび野生種の葉から抽出したDNAを60種類のランダムプライマーを用いたPCR法により増幅したDNA断片の多型(RAPD)を調査し、ネギと野生種間の遺伝的マーカーとして利用できる非共有断片(RAPDマーカー)を検索した結果、三つの野生種についてそれぞれ 278、363、365のRAPDマーカーが確立された。 平成6年度、7年度及び本年度に作出した野生種が染色体提供親であるネギの単一異種染色体添加系統(FF+nG:3系統、FF+6G:1系統、FF+4V:1系統)を用いて、13種類のアイソザイム遺伝子座(Got-1、Got-2、Pgi-1、Pgm-1、Lap-1、Mdh-1、Idh-1、Gdh-1、Gdh-2、6-Pgdh-1、Skdh-1、Adh-1、Aco-1)についてアイソザイム分析を行った結果、1系統(FF+nG)がPgm-1について、1系統(FF+6G)がGot-2及びAdh-1について A.galanthumに固有な対立遺伝子によって発現されるアイソザイムバンド(アイソザイムマーカー)を持っていた。また、1系統(FF+4V)がMdh-1について A.vaviloviiのアイソザイムマーカーを持っていた。さらに、これらの単一異種染色体添加系統を用いて、RAPD分析を行った結果、すべての系統で染色体提供親に固有なRAPDマーカーが検出された。
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