研究概要 |
Phytophthora属菌の宿主選択因子の作用を示すサプレッサーグルカンの分離・精製ならびに構造との関連で解析を進めるための作用機構の解析を行い、次のような成果を得た。1)P.infesransの遊走子を接種した透析膜感染系における内液および懸濁胞子発芽系の懸濁液より、脱タンパク質および脱脂過程を経たのち、陰イオン交換カラムによりサプレッサー活性の高いフォスフォグルカン(P-SG)を分離した。2)P-SGはアミドカラムによるHPLC分析で糖の重合度18-23で、グルカン分子あたり1-4分子のリン酸基をもつβ-1,3-グルカンと確認されたが、ゲルカラム分析ではpHによりその挙動が複雑に変化し、さらに分離された、詳細な構造解析は今後の課題となった。3)数種の構造的に異なる分子の混合であることを明らかにし、エリシター刺激の活性酸素生成反応をオートフォトグラフィーで測定する方法を開発し、その阻害効果を指標に多種のサンプルを同時に測定することを可能にした。4)P-SGは、菌の感染・侵入過程で放出され、菌体表面のエリシター刺激によるCa^<2+>チャンネルを介したCa^<2+>のインフラックスに始まる活性酸素生成系の活性化を阻害することを示した。5)無細胞原形質膜画分を用いての分子作用機構を解析したが、膜画分にグルカナーゼやフォスファターゼ活性があり、P-SGの分解を防ぐ改良系の必要性があり、今後の課題となった。
|