研究概要 |
植物と微生物の総合作用における初期認識には、植物の防御反応を誘導する物質、エリシターと、エリシターに拮抗的に働くサブレッサーなどの、菌由来シグナル因子が、病原性・非病原性を決定する要因として非常に重要な役割を担っている。本研究では、これらの病原菌由来シグナル因子による植物防御応答遺伝子の同調した発現調節に必要なシス・トランス因子の割り出し行うため、生化学的・分子遺伝学的手法を用いて解析したものである.以下に実験結果を列記する。 1.PSPAL1. 2、および PSCHS1, 2のプロモータ領域に存在するATリッチシークエンスはアクテイベータ-として機能し、本ATリッチシークエンスに結合する共通のタンパク質はHMG-I/Yに類似するDNAペンデイングに関与するタンパク質である可能性が大きい。 2.PSPAL1. PSPAL2遺伝子5'-プロモータ領域に含まれるエリシターによる発現誘導応答に必要なシス因子の候補として特に、box 2 (P-box), box 4 (AT box)が必要であり、さらにbox 1との共存下でその効果が増幅されることが明らかとなった。 3.トランスジェニックタバコにおけるキメラ遺伝子の発現様式からPSPAL1, PSPAL2プロモータはともに、根・下位茎における組織特異的発現に関与していることが示唆された。また、PSPAL1プロモータは、さらに花弁の色素沈着部における特異的発現に関与していることが明らかとなった。GUSレポーター遺伝子との連結で、非転写融合型(-1,394から-27まで)、転写融合型(-1,394から+5まで、並びに二つのタイプ(type A, -1,394から+115 ; type B, -1,394から+140)の翻訳融合型を構築しGUSの発現レベルを調べたところ、翻訳融合型タイプBで最も発現が高く、続いて翻訳融合型タイプBであったが、転写融合型、非転写融合型では、活性はほとんど認められなかったことから、エキソニックな領域にPSPAL1プロモータの活性化因子が存在するものと考えられる.
|