1・本邦産アゾラ…オオアカウキクサ(A.japonica NAKAI)のコレクションのアイソザイムを調べた結果、三重県南部、愛知県南部で採取したものは西日本から採取したものと違いA.filiculoides(ヨーロッパ産)よりA.rubra(New Zealand産)に近いことがわかったので、採集地域をさらにひろげるとともにDNAの分析をRAPD(Random Amplification Polymorchic DNA)法で分析した。これは10くらいの塩基を持つプライマーでDNAをPCRで増殖してから、電気泳動でDNA断片を分け、いろいろなバンドの有無でDNAの相同性を調べる方法である。この結果アイソザイムの分析で示されたと同様に、本邦産A.japonicaにはすくなくとも2の系統があることがわかった。ひとつは関西・九州からのもので、A.filiculoidesに近く、もうひとつは三重県南部、愛知県南部で採取したもので、A.rubraに近い。今後さらに系統を集め、両者の分布を調べる予定である。 2・アゾラの突然変異株をうる目的でアゾラのX線照射を行った。3000-4000Rが適当であることがわかった。3の生き残り個体が得られたので、同様な研究行っている大阪府立大学に送って、選択圧をかける予定である。 3・A.filiculoidesの自家受粉によるF1世代個体をIRRI(国際稲研究所)より取り寄せた。まずこのDNAのRAPDによる分析をおこなったが、差がなかった。これは取り寄せた株がA.filiculoidesであったことを確認するもので、今後特定の遺伝子DNAの分析で分離比などの検討行う予定である。
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