ヒトの核内蛋白質であり、多様な機能性領域を持つ蛋白質であるN/MAXを発見し、そのcDNAクローンを単離して構造と機能を解析した。この蛋白質は次のような機能領域を持つことを明らかにした。a)Cのクラスターを認識して2本鎖DNAに結合する領域、b)スプライシング因子に見られるアルギニン・セリンに富むRS領域、c)hnRNPに見られるポリピリミジン結合モチーフを持つMH2領域、d)酸性核マトリックス蛋白質であるマトリン3と相同なMH1、MH2およびMH3領域、e)LVTVDEVIEEEDLの配列が繰り返すacidic repeat領域、f)亜鉛フィンガーに類似した領域。この蛋白質に対する抗体は核当たり数百個の顆粒状構造体を蛍光染色し、この複合体は核分裂時に凝集クロマチンから排除されて細胞質に拡散し、分離を完了した複製クロマチンに再会合して娘核内に収納されることも明らかにした。これらの特徴は、この蛋白質が染色体の特定DNA領域やRNA分子を組み込んだ分子複合体に含まれて何らかの核内反応の場を形成していることを示した。このような分子複合体を形成している他の蛋白質をクローニングするために、Two-Hybrid法を適用し、スプライシング因子であるSF2と同様に、RSを含む領域を介して32kDaのタンパク質(SF2-p32)と相互作用することも明らかにした。さらに、マウスの核内に存在する相同体のcDNA群も単離して、この蛋白質には選択的スプライシング機構によって生じる4種類の異型体が存在することも明らかにした。
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