研究課題/領域番号 |
06454077
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
左右田 健次 京都大学, 化学研究所, 教授 (30027023)
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研究分担者 |
栗原 達夫 京都大学, 化学研究所, 助手 (70243087)
江崎 信芳 京都大学, 化学研究所, 助教授 (50135597)
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キーワード | ペプチドグリカン / D-アミノ酸 / グルタミン酸ラセマーゼ / アラニンラセマーゼ / UDP-N-アセチルムラミル-L-アラニン / ピリドキサルリン酸 |
研究概要 |
細菌細胞壁には、高等動物には存在しない種々のD-アミノ酸が必須成分として含まれる。これらD-アミノ酸の生合成に関与する微生物酵素の特異的阻害剤は、選択性の高い新規抗生物質への応用が可能である。本研究では、これら酵素の構造と触媒機構の関連を明らかにし、これに立脚した特異的阻害剤を開発することを目的としている。このような酵素の一つであるグルタミン酸ラセマーゼは、ペプチドグリカンの構成成分であるD-グルタミン酸生合成に関与する。本研究では、E.coli由来の同酵素がペプチドグリカン生合成の中間体であるUDP-N-アセチルムラミル-L-アラニンにより活性化される現象について検討し、酵素タンパク質がこの活性化因子により構造変化を起こすこと、またこの活性化には酵素のN-末端領域が関与することを明らかにした。また、Bacillus pumlisの同酵素遺伝子をクローニングし、その発現が転写レベルでの調節を受けることを見い出した。また同じくペプチドグリカンの構成成分であるD-アラニンを供給するアラニンラセマーデについて、X線結晶解析の結果から補酵素の両面に空隙が存在することを明らかにし、同酵素が他のピリドキサル酵素とは異なり、補酵素の両面で水素転移反応を触媒することを裏付けた。さらに、活性中心リジン残基をアラニン残基に転換した変異型酵素に対する1級アミンと2級アミンの活性化効果の違いから、アラニンラセマーゼ反応にはアルジミン転移の過程が必須であることを明らかにした。
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