研究概要 |
1.カイコの培養細胞系であるBM-N4細胞に発現しているボンビキシン受容体についてラベル化ボンビキシンを用いて結合号実験を行い、そのスキャッチャード解析から、この細胞に発現しているボンビキシン受容体は1種類であり、解離定数が2.4nM、1細胞当たり14,000個の受容体が発現していることが明らかになった。また、架橋実験等からボンビキシン受容体は300KD以上の分子量を持つがボンビキシンの結合部位は105KDのサブユニットであること、さらにボンビキシン受容体にはチロシン残基の自己リン酸化活性があり、リン酸化されるサブユニットは94KDであることが明らかになった。以上の結果から、ボンビキシン受容体はインスリン受容体とよく似た構造および性質を持つと思われる。今後、発現クローニング法およびインスリン受容体との相同性を利用して、遺伝子側からボンビキシン受容体のアミノ酸配列等を明らかにする予定である。 2.前胸腺刺激ホルモン(PTTH)受容体については、結合実験等を行うため放射性ラベル化の条件検討を行い、結合活性を持つ放射性PTTHを調製することが可能となった。現在、前胸腺に存在する受容体の解離定数や分子量などを明らかにするため、結合実験のスキャッチャード解析、架橋実験などを行っている。また、発現クローニング法による受容体のクローニングを進めるべく、cDNAライブラリー作製のための前胸腺の収集を行っている。 3.その他の神経ペプチドのうちPBAN受容体については発現クローニング法による遺伝子のクローニングを試みたが、目的の遺伝子はクローニングできなかった。今後、スクリーニング法などを改良することが必要であると思われる。
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