研究概要 |
1.カイコの培養細胞系であるBM-N4細胞に発現しているボンビキシン受容体について哺乳類の細胞を用いた発現クローニング法による遺伝子のクローニングを試みたが、目的遺伝子はクローニングできなかった。また、これまでに蛋白質側から得られている情報からボンビキシン受容体はインスリン受容体とよく似た構造および性質を持つと思われる。そこで、インスリン族プペチド受容体の間で相同性の高いチロシンカイネース部分に相当するプライマーを多種類合成し、PCRによる部分配列の増幅を試みた。その結果、ボンビキシン受容体の一部と思われる部分配列を得ることに成功した。さらに、この部分配列をプローブとしてBM-N4細胞から調製したcDNAライブラリーをスクリーニングしたが陽性クローンは得られなかった。その原因として、ボンビキシン受容体遺伝子は非常に大きく、また、mRNAの存在頻度もかなり低いため、cDNAライブラリー中にボンビキシンcDNAが含まれていないことが予想される。そのため、アンカードPCRによるボンビキシン受容体遺伝子の全長を決定することを現在試みている。 2.前胸腺刺激ホルモン(PTTH)受容体については、放射性ラベル化したPTTHを用いて前胸腺に存在するPTTH受容体に対して結合実験を行い、そまスキャッチャード解析から前胸腺細胞に発現しているPTTH受容体は1種類であり、解離定数が54pM、1細胞当たり16,000個の受容体が発現していることが明らかになった。また、架橋実験等からPTTH受容体は分子量が約75,000であること、ジスルフィド結合によるサブユニット構造はとっていないことが明らかとなった。今後、発現クローニング法を利用して、遺伝子側からPTTH受容体のアミノ酸配列等を明らかにする予定である。
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