研究概要 |
1. カイコ培養細胞BM-N4に解離定数2.4nMのボンビキシン受容体が細胞あたり16,000個存在することを明らかにした。また、架橋実験からボンビキシン受容体はインスリン受容体と同様、ジスルフィド結合を介したサブユニット構造を持ち、結合サブユニットは約105kD、チロシンリン酸化サブユニットは約92kDであることを明らかにした。 2. 上記の結果をもとにBM-N4細胞からインスリン受容体ファミリーのチロシンキナーゼ部位の相同性を利用し、PCRなどによりボンビキシン受容体と思われる遺伝子をクローニングした。この遺伝子から予想されるボンビキシン受容体はインスリン受容体と同様、αサブユニットとβサブユニットが一つの遺伝子上にコードされており、その境界にKVKRというプロッセッシング部位が存在していた。また、αサブユニットにはシステインに富む領域が、βサブユニットには膜貫通領域とともにチロシンキナーゼ領域が存在しており、基本的な構造はインスリン受容体と同じであった。 3. 前胸腺刺激ホルモン(PTTH)受容体の性質を明らかにするため、カイコ前胸腺細胞を用いて結合実験および架橋実験を行った。結合実験の結果をスキャッチャード解析したところ、PTTH受容体の解離定数は54pMであり、前胸腺1個の細胞あたり約16,000個の受容体が存在することが明らかとなった。また、架橋実験の結果、PTTH-受容体複合体と思われる95Daの特異的なバンドが検出されたことからPTTH受容体の分子量は約75kDであると考えられた。さらにPTTH受容体遺伝子のクローニングのためmRNAを調製し、COS7細胞での発現を行うための発現用cDNAライブラリーを作成したが、充分な大きさのライブラリーを構築できなかった。現在、ライブラリー作成の条件の改良を進めるとともに放射性PTTHを用いてライブラリーのスクリーニングを行っている。
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