研究課題/領域番号 |
06454086
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
笹 賀一郎 北海道大学, 農学部・附属演習林, 教授 (70125318)
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研究分担者 |
小野寺 弘道 北海道大学, 農林水産省・森林総合研究所, 育林技術科長
佐藤 冬樹 北海道大学, 農学部・附属演習林, 助教授 (20187230)
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キーワード | 北方環境林 / 強風寒冷地 / 積雪状況 / 表土凍結 / 植物へのダメ-ジ / 植生分布 / 群落形態 / 環境指標 |
研究概要 |
平成8年度は本研究計画の最終年度となったため、厳冬期に植物がうけるダメ-ジおよび厳冬期環境と植物群落形態との関連に関する継続観測と補足的な調査をおこない、植物状況の厳冬期環境指標としての整理をおこなった。本研究によって得られた成果の概要は、以下のようである。 1.チシマザサとクマイザサの活性化した地中芽には、発桿状態にまで活性化したもの(A)・活性化が開始されたばかりのもの(C)・その中間にあるもの(B)の3形態が存在していることが確かめられた.また、活性化の途中にある(B)(C)の地中芽は、寒害などによる地上部の被害や喪失にたいしていつでも新桿形成をおこなえるように備えている地中芽であることが確かめられた。 2.ササの地上部は-10℃程度・地下茎や地中芽は-5℃の低温でも枯死してしまう。したがって、ササの桿や葉の積雪面から露出した部分は枯死し、表土凍結の発生地点では根茎全体も枯死してしまうため、上述のような地中芽の対応はできなくなることが確かめられた。 3.強風寒冷地やナダレ常襲地における観測から、ササ群落の存在やその形態が厳冬期の積雪深や積雪移動と密接な関連をもち、厳冬期環境の植物指標として充分に使用可能であることが確かめられた。 4.山火事跡・強風寒冷地における再生木本群落は、地形的な影響とともに、厳冬期から春先にかけての強風の影響を大きく受けている。したがって、再生木の樹形や再生林の形態は、厳冬期の強風に関する指標として使用可能であることが明らかになった。 5.多雪地域の雪害発生状況や樹木形態の観察から、積雪深や積雪移動と樹木形態との関連が明らかになった。したがって、多雪地域における樹木の形態も、厳冬期の環境指標として使用可能であることが確かめられた。
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