研究課題/領域番号 |
06454088
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
宝月 岱造 東京大学, アジア生物資源環境研究センター, 教授 (10107170)
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研究分担者 |
福田 健二 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 講師 (30208954)
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キーワード | 病徴進展の素過程 / 抵抗性樹種 / 誘導抵抗性 / 感染初期 / 物質的相互作用 / フィルター / 幼虫の齢 / 線虫の増殖 |
研究概要 |
本研究は、感染初期における諸素過程に焦点を絞り、材線虫病抵抗性がどの素過程の違いに由来するのかを明らかにすると同時に、各素過程で宿主と線虫との間にどのような物質的相互作用があるかを明らかにすることを目的にしている。こうした観点から、本年度は、これまでに我々が確立したin vitroの感染系を用いて、線虫が作る細胞毒性物質の存在を検討した。また、昨年度確認した誘導抵抗性についても引き続き検討を行った。その結果、以下の成果が得られた。 (1)マツ組織と線虫の間に線虫を通さないフィルターを挟み、マツ組織細胞の死を調べたところ、成虫及び齢の高い幼虫を多く含む線虫集団を接種すると細胞は死なないが、齢の低い幼虫を接種するとフィルターが無いときと同様に、細胞が死ぬことが解った。このことは、成虫及び齢の高い幼虫は、毒性物質を出さないが、齢の低い幼虫は、毒性物質の生産、分泌し、フィルターがあっても細胞を殺すことを示している。 (2)昨年度、野外で行ったアカマツへの接種試験によって、弱病原性材線虫を前接種することにより強病原性材線虫による枯死率が低下する、いわゆる誘導抵抗性現象を確認したが、今年度は、そのときに接種した苗の解剖学的検討を行った。その結果、前接種した苗木でも強病原性材線虫を接種すると組織はかなりの加害を受けるが、形成層までは、病徴が及ばないこと、また、線虫の増殖も、前接種していない苗木に比べて、抑えられていることが解った。このことは、前接種により線虫の増殖が抑えられ、それによって病徴が形成層にまで達しなかったことを示唆している。
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