• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

1996 年度 実績報告書

林木に加害する穿孔性昆虫と微生物・線虫の共生システムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 06454090
研究機関名古屋大学

研究代表者

柴田 叡弌  名古屋大学, 農学部, 教授 (30252282)

研究分担者 肘井 直樹  名古屋大学, 農学部, 助教授 (80202274)
キーワード木材穿孔性昆虫 / キバチ / カラマツヤツバキクイムシ / 青変菌 / 繁殖戦略 / Amylostereum菌 / 推定産卵率 / 産卵試験
研究概要

本年度は主として、菌と共生するキバチ類の繁殖戦略およびキクイムシと青変菌との相互作用についての研究に大きな進展がみられた。
キバチ:キバチ類3種(ニトベ、ニホン、オナガキバチ)について、本研究期間内に明らかにされた生態特性の比較を通して、大卵少産型のニトベと小卵多産型のニホンキバチの繁殖戦略を、樹脂に対する耐性、予測性の低い資源の利用の観点から明らかにした。また、自らは体内に共生菌を持たないオナガキバチについて、様々な条件下で産卵試験を行った結果、伐倒後1年を経過した古丸太への産卵率は4%以下で、多くの個体は産卵行動すら示さなかったが、ニトベキバチの共生菌A.areolatum、ニホンキバチの共生菌Amylostereum chailletiiを人為的に接種した丸太に対しては90%以上の産卵率を示す個体もみられ(各平均30%)、さらに菌の接種部付近に集中して産卵する行動も確認された(論文投稿中)。さらに、ニトベキバチに対し、生立木、衰弱木、伐倒丸太を用いた産卵実験を行った結果、生立木と伐倒直後、および伐倒後1〓月以上経過した丸太では推定産卵立が極度に低下すること(論文掲載)、またニホンキバチでは、伐倒後10日以内の丸太上で最も高い産卵率を示すことを見い出し、産卵に最適な寄主木の条件を初めて定量的に明らかにした(論文準備中)。
キクイムシ:カラマツに穿孔するカラマツヤツバキクイムシの生育過程とそれによって伝播される青変菌の菌相の変化を、野外実験と分離実験により明らかにした(論文掲載)。さらに、キクイムシが持ち込む数種の菌に対する樹木側の反応を経時的に追跡するため、アカマツ幼樹への接種実験を行い、ストレス下における菌の病原性を明らかにした(論文掲載)。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Peng,X.: "Inoculation with blue stain fungi associated with Ips cembrae(Coleoptera : Scolytidae)on seedlings of Japanese larch and Japanese red pine." Bulletin of the Nagoya University Forest. 15. 129-138 (1996)

  • [文献書誌] Peng,X.: "Blue stain fungi associated with Ips cembrae(Coleoptera : Scolytidae)in Japanese larch in connection with their brood development." Journal of Forest Research. 1(2). 103-106 (1996)

  • [文献書誌] Fukuda,H.: "Host-tree conditions affecting the oviposition activities of the woodwasp,Sirex nitobei Matsumura(Hymenoptera : Siricidae)" Journal of Forest Research. 1(3). 177-181 (1996)

  • [文献書誌] 福田秀志: "ニトベキバチ(Sirex nitobei)でみとめられた昆虫寄生菌." 第44回日本林学会中部支部大会論文集. 44. 153-154 (1996)

  • [文献書誌] 福田秀志: "スギ・ヒノキ林における誘引剤を用いたキバチ類の誘引効果(I)-間伐木が放置されていない林分において-" 中部森林研究. 45. 181-184 (1997)

  • [文献書誌] 肘井直樹: "森林における昆虫と菌の共生機構-フンブロシアキクイムシとキバチ-" 森林科学. 17. 46-49 (1996)

URL: 

公開日: 1999-03-08   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi