研究課題/領域番号 |
06454091
|
研究種目 |
一般研究(B)
|
研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
片桐 成夫 島根大学, 農学部, 教授 (00032649)
|
研究分担者 |
長山 泰秀 島根大学, 農学部, 助手 (60228062)
新村 義昭 島根大学, 農学部附属演習林, 助教授 (80206333)
持田 和男 島根大学, 農学部, 教授 (30032577)
金子 信博 島根大学, 農学部, 助教授 (30183271)
|
キーワード | アカマツ林 / マツクイムシ / 遷移 / 物質循環 / リターフォール / 土壌動物 / 薬剤散布 / 土砂流出 |
研究概要 |
島根県松江市、簸川群斐川町にマツクイムシ被害を受けた林分の調査地を3ケ所、八束群玉湯町に被害を受けていない林分の調査地を3ケ所設置した。玉湯町の林分は被害がほとんどなく、薬剤防除が行われていたが、平成6年度は一部薬剤散布が中止された。斐川町の林分はほぼ100%の被害を受け、伐倒処理が行われていた。松江市の林分は被害後の植生回復がかなり進んでいる。これらの林分で毎木調査を行い、再生しつつある樹種構成を明らかにした。その結果、落葉広葉樹を中心とした先駆種の侵入が顕著であるが、遷移後期種のシイ、タブの成長が予想よりも遅いことが明らかとなった。さらに、地上部現存量、養分還元量、土壌養分集積量を測定し、物質循環を比較した結果、土壌の養分集積量には大きな差がないものの、地上部現存量、リターフォールによる養分還元量に明らかな差が見られた。地上部現存量は被害を受けていない林分で大きく、被害の大きい林分でアカマツのない分だけ少なかった。養分還元量も地上部現存量と同様の傾向を示した。還元量、養分吸収量から物質の回転率を求めると、被害をほとんど受けていない林分では養分の循環がゆっくりと安定しているのに対して、大きな被害を受けた林分では、再生のために吸収した養分を速やかに還元し、物質の循環が速いことが明らかとなった。被害林での土砂・水の流出については測定のための堰の建設がほぼ完成し、観測を開始する準備が整った。薬剤散布を行った玉湯町の林分で薬剤の残留状態を調査した結果、土壌中では散布直後に急速に消失するが、後期には半減期が約3カ月で、かなり長期にわたって残留することが明らかとなった。一方、河川、池水のMEP濃度は数日間で、半減し、1カ月半で検出限界以下となった。土壌への吸着の影響がかなり長期にわたることから、土壌動物相については現在データを整理中であるが、土壌生物への影響が次年度以降の課題である。
|