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1995 年度 実績報告書

木質の形成に及ぼす膨圧の周期変動の影響

研究課題

研究課題/領域番号 06454094
研究機関名古屋大学

研究代表者

奥山 剛  名古屋大学, 農学部, 教授 (00023482)

研究分担者 吉田 正人  名古屋大学, 農学部, 助手 (30242845)
山本 浩之  名古屋大学, 農学部, 助教授 (50210555)
キーワード膨圧 / 水ポテンシャル / 成長応力 / 成長 / 内樹皮 / 樹木 / 日周期 / 原形質分離
研究概要

昨年に引き続き、樹木苗の生細胞の膨圧の連続測定を行なった。今年度は、膨圧と水分ポテンシャルとの関係を明らかにすること、及び膨圧の絶対値を推定することを主眼において実験を行なった。その結果つぎの結論を得た。
(1)接線ひずみの日変動と、葉の水分ポテンシャルを同時に実測したところ、両者には非常よい相関が見られた。直線で回帰され、Y=5.30×10^<-4>X-1.09(Y:ポテンシャル、X:接線ひずみ)でr=0.88^<**>の相関がみられた。このことから、接線ひずみは水ポテンシャル変動による新生細胞の膨圧の変動を連続的に測定したものであることが明らかになった。
(2)スギ苗の接線ひずみを、水欠損条件下で測定した。照度228W/m^2、温度25℃、湿度70%の条件のグロースチャンバー内で、ひずみの日周期振幅が810x10^<-6>と一定になった時点で、給水を止めた。給水停止後6日ほどひずみは収縮に向かい、振幅が10日で最大を示した。その後、接線ひずみは-2500x10^<-6>まで急速に収縮し、30日まではゆるい傾斜の直線状に収縮を続けた。ここまでの現象は明らかに木部及び生細胞の水ポテンシャルの低下とにともなう細胞直径の減少に起因すると考えられた。しかしながら、その減少は連続的であり生細胞内の膨圧は完全にはゼロにはなっていないと考えるべきである。ところが、給水停止後、30日の時点で接線ひずみは急速な収縮を始め-4500x10^<-6>に達して安定した。これは、明らかに細胞の枯死による水分損失による細胞壁の乾燥に伴う収縮である。以上のことら、給水停止後30日の時点で細胞内の膨圧がゼロになったものと推定される。
この減少から、膨圧の絶対値を推定した。すなわち、給水停止前の最大接線ひずみと原形質分離が生じたと考える30日でのひずみの差{810-(2500)}x10^<-6>が膨圧にともなう細胞の膨張、すなわち接線ひずみと考えられる。内樹皮のヤング率0.6GPaと直径および内樹皮の厚さを勘案して膨圧を計算したところ約230KPaとの値が得られた。
この値は、豆植物の胚軸の伸長過程で実測される300〜400KPaと同じオーダーである。次年度では、さらにこの膨圧の大きさが細胞の成長に影響していることを明らかにする予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] Okuyama T.et al.: "A Physical Behavior of Tree During Secondary Growth,Diurnal change of tangential strain of sapling." Resumc des Plant biomcchanics. 133-134 (1994)

  • [文献書誌] Okuyama T.et al.: "An estimation of Turgor pressure Change as One of Factors of Growth Stress Generation in Cell Wall. iurnal change in tangential strain of inner bark." Mokuzai Gakkaishi. 41. 1070-1078 (1995)

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公開日: 1997-02-26   更新日: 2016-04-21  

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