養殖ウシエビの体色改善法を確立することを目的として、ウシエビ外骨格および筋肉上皮中のカロテノイド、カロテノプロテインの分析を行い、ウシエビの体色発現機構の解明を試みた。まず、様々な体色を呈するウシエビ外骨格中のカロテノイドの含量および組成を分析した。含量は2.3〜33.1mg/100gと体色の濃いエビ程高い傾向が見られた。主なカロテノイドはアスタキサンチンで、ジエステル型、モノエステル型、遊離型の3形態が存在した。次いで、ウシエビ外骨格中のカロテノプロテインの単離・精製を行い、分子量約120kDaの遊離型アスタキサンチンを含む濃青色カロテノプロテインを得た。それに対し筋肉上皮からは、コラゲナーゼ処理により分子量21.4kDaの遊離型アスタキサンチンを含む濃青色カロテノプロテインを抽出した。最後に暗灰色および青色のウシエビの筋肉上皮につき、コラゲナーゼ処理により抽出されるカロテノプロテインと、残存するカロテノイドの含量・組成を比較した。カロテノプロテイン画分は遊離型アスタキサンチンを含み、その含量は暗灰色および青色の試験群間で大差なく、いずれも濃い青色を呈した。一方、青色カロテノプロテインを除いた後の筋肉上皮は、従来の着色部位が赤色を呈し、暗灰色試験群でその色調が濃厚であった。対応して、残留カロテノイドの主成分であるアスタキサンチンエステルは、暗灰色群で青色群の約6倍多く含まれていた。以上のことから養殖ウシエビの多様な体色は、共通の青色カロテノプロテイン画分および赤色のアスタキサンチンエステル画分の存在比の相違によって生じることを明らかにすることができた。
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