研究課題/領域番号 |
06454113
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
塩田 邦郎 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (80196352)
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研究分担者 |
服部 中 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (30270896)
能田 健 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (60218287)
小川 智也 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (30087572)
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キーワード | 胎盤 / 卵巣 / 胎盤機能調節因子 / 転写因子 / ゲノムメチル化 / 転写調節 / 遺伝子発現 |
研究概要 |
従来の胎盤機能調節の研究は、細胞成長因子やサイトカインのネットワーク解析に集中していた。先に申請者らは、ラットを用いた2種類の妊娠延長モデル(Pモデル、NCモデル)を開発し、妊娠中期特異タンパク質が妊娠後期に再度発現されることを示し、胎盤内調節ネットワークは胎盤外、特に卵巣由来因子による上位の調節系、すなわち上位駆動系による支配下にあることを明らかにした。本研究計画はこの上位駆動系について、特に卵巣由来の胎盤機能調節因子の探索を中心に、生化学的・遺伝子工学的手法を用いて解析しようとするものである。 今年度は、世界に先駆けてクローニングした妊娠中期特異的分子PL-Imに加え、妊娠後期に特異的なPLP-Dを発見しクローニングした。また、胎盤性ラクトジェンの遺伝子発現をPモデルとNCモデルで解析し、上位駆動系による胎盤調節は遺伝子レベルで行われていることを明らかにした。次に、調節因子の探索のために、上記モデルを用いたcDNAサブトラクションcDNAライブラリーを作成し、新規分子を含む候補遺伝子を得た。これらは妊娠延長期に特異的に卵巣で発現されることを確認している。また、これらの発現は転写因子による調節に加え、ゲノムシトシンのメチル化/脱メチル化が関わっていることを発見した。そして、時期特異的に胎盤のガングリオシド組成も変化することを発見した。さらに、これらの新規な胎盤由来の活性物質についての血液中動態の追及と生理機能の解析のため、遺伝子組み換えタンパク質の生産も行い、糖鎖が機能発現に重要であることを示した。以上、胎盤は母体卵巣由来因子による上位駆動系を介してコミュニケーションを行いつつ、妊娠時期に特異的な機能を発揮していることを分子レベルで明らかにした。
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