研究概要 |
黒毛和種の有効活用を図るため,肉質の優れている但馬牛の集団を対象に,種々の集団遺伝学的分析を行ってきた.その分析にDNA多型マーカーを加えることは経済形質の分析には不可欠である.そこで,本研究では黒毛和種を対象として,ミニサテライトやミクロサテライト遺伝子座等のシングルローカスVNTRマーカー遺伝子座のクローニングを行い,形質選抜のマーカーとして,利用しようとしている. 本年度は先ずミニサテライト遺伝子座のクローニングを行った.ウシのコスミドゲノムライブラリーより,ミニサテライト反復配列33.15をプローブとしてスクリーニングを行った.3,000個のコロニーから20個のポジティブ・クローンを得た.このクローンよりコスミドDNAを精製した.サザン・ブロティングの結果,ポジティブ・フラグメントを持つものは17個であった.それらのフラグメントサイズは1kb,2kb,4kb,6kb等の小さなものから2kbの大きさのものまで様々であった.これらのポシティブ・フラグメントを用いて,制限酵素断片長多型の分析を行った結果,極めて多型頻度の高いVNTR遺伝子座が数個発見された.その結果,この方法によりVNTR遺伝子座のクローニングが可能なことが示され,今後YNZ22等,別のプローブを用いたクローニングに道が開かれた. 次に,ミクロサテライト遺伝子座のクローニングではミュータジェネシスの変法を用いて黒毛和種のゲノム・ライブラリーから(GT)nの反復配列のクローニングを行った.現在,81個のポジティブ・クローンを得ており,その何れもが(GT)nの反復配列を持つ遺伝子座であることが確認された.この内,2つについては多型が検出されている.
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