これまでに私達はR.equiの強毒株には菌体表層に15-17kDa抗原が発現し、この遺伝子がプラスミド上に存在する事を明らかにした。この15-17kDa抗原遺伝子をプラスミドからクローニングし、塩基配列を決定し、さらに強毒株の迅速同定法としてこの遺伝子をターゲットにしたのPCR法も開発した。この抗原の機能を解析する目的で、マウス実験モデルを用いて15-17kDa抗原が感染防御に働くか否かを検討した。まずKSCN抽出により15-17kDa抗原を部分精製し、これをマウスに頻回免疫し、感染防御試験を行った。15-17kDa抗原免疫マウスでは抗体価の上昇を確認後、強毒株を攻撃したが完全な感染防御は成立しなかった。しかし、免疫マウスで臓器中菌数の有意な増加抑制効果が認められた。 次に、マクロファージ内での強毒株の15-17kDa抗原が発現するか否かを検討した。実験感染マウスおよび自然感染子馬の病変部の病理組織切片を15-17kDa抗原に対するモノクローナル抗体を用いた酵素抗体法で染色したところ、マクロファージ内の全ての菌で15-17kDa抗原を発現していることが明らかとなった。これは、15-17kDa抗原が生体内で発現する事を初めて直接証明したものである。 15-17kDa抗原遺伝子のR.equi 弱毒株への導入は、これまでジーンパルサーを用いた電気穿孔法で試みてきたが、全て失敗した。これは本菌菌体が厚い莱膜に被われ、グラム陽性菌の堅い細胞壁などの複数の障碍と、ベクターの不適切などが考えられ、今後も更にベクター等を変え検討を加えていきたい。
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