研究概要 |
子馬に重篤な化膿性肺炎を引き起こすロドコツカス・エクイ(Rhodococcus equi)強毒株は85kb 或いは90kb の病原性プラスミドを保有し、菌体表層に15-17kDa抗原を発現する。これまでに私たちはマウスを用いた感染モデルで本菌の感染防御には細胞性免疫が重要であり、特にIFN-γとTNF-α等のサイトカインの重要性が明らかにされた。そこで、今回、(1)致死量感染させた場合の内在性サイトカインの動態、(2)生菌免疫マウスでの強毒株攻撃時の臓器からの菌排除およびサイトカイン産生、(3)サイトカイン産生細胞の一つであるT細胞マーカー(CD4,CD8,γδ及びαβTCR)とNK細胞に対するモノクローナル抗体を処置したマウスへの強毒株攻撃時のサイトカイン産生、(4)CD4^+T細胞の分化とNK細胞の活性化に関与するInterleukin(IL-12)のmAb投与マウスの感染防御について、強毒株の初感染マウスモデルを用いサイトカイン産生細胞を中心に検討した。 (1)強毒株の致死量感染では4日目に全例死亡し、TNF-αは菌数の増加に随伴し、死亡直前に産生のピークを迎えた。(2)抗CD4及びCD8、γδ及びαβT細胞レセプター抗体処置は強毒株のマウス体内からの排除に影響無かった。(3)NK細胞に対する抗体も菌のクリアランスに影響が無かった。(4)しかし、生菌免疫マウスへの抗CD4抗体投与は強毒株の排除を遅延させた。(5)一方、Th1型細胞への分化に関与するIL-12のmAb投与マウスでは強毒株の亜致死量感染においてマウスが死亡した。以上の成績から、R.equi強毒株の感染初期において宿主の感染防御因子としてIFN-γ、TNF-αに加えIL-12の重要性が明らかとなったが、感染初期の感染防御にはγδ及びαβT細胞、NK細胞以外の細胞の関与が示唆された。
|