研究課題/領域番号 |
06454124
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
河本 馨 東京大学, 農学部, 教授 (30011894)
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研究分担者 |
青木 不学 東京大学, 農学部, 助手 (20175160)
酒井 仙吉 東京大学, 農学部, 助教授 (80114487)
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キーワード | 細胞増殖 / 細胞周期 / サイクリン / マウス / 乳腺 / 上皮細胞 |
研究概要 |
細胞周期は、G1/S期の遷移がcdk2キナーゼにより、またG2/M期の遷移がcdc2キナーゼによって調節されている。前者はp33^<cdk2>とサイクリンAまたはサイクリンBの複合体であり、後者はp34^<cdc2>とサイクリンD、E、Aとの複合体である。現在では、サイクリンBにはB1とB2が、またDにはD1、D2、D3が存在することが知られている。また、p21やp27などの細胞増殖抑制因子はこれらの調節因子であるキナーゼと複合体を形成することにより細胞周期の進行を抑制することが明らかになっている。乳腺上皮細胞は、妊娠初期に盛んな分裂増殖を示し、泌乳中にはきわめて増殖が不活発である。本年度の研究としては、乳腺上皮細胞のそれぞれのステージにおける、これら諸因子の発現を調べることによりシグナル伝達の最終段階を明らかにすることを目的とした。 最初に、妊娠中の細胞分裂を明らかにするために、in vitroにおけるチミジンの取り込みによるDNA合成率を調べたところ、妊娠3〜9日に高く、それ以後は次第に低下した。妊娠前および泌乳中は低かった。次に、p33^<cdk2>およびp34^<cdc2>をウェスタンブロットでそれぞれの特異的抗体を用いて調べたところ、全期間を通じてほぼ一定であった。さらに、RT-PCR法によりサイクリンA、B1、D1、D2、D3、EのmRNAを調べたところ、これらすべてのmRNAが発現していた。しかしながら、その発現の仕方には2種類あり、サイクリンA、D2、Eのように、DNA合成の盛んな妊娠初期に高く他の時期には低いものと、サイクリンB1、D1、D3のように、あまり変化の顕著でないものとがあった。RT-PCR法では絶対量が推定できないが、乳腺上皮細胞の増殖においては、サイクリンA、D2、Eが重要な役割をしていると思われる。また、これら調節因子の抑制因子p21およびp27は、いずれも細胞分裂の盛んな時期によく発現していた。
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