研究概要 |
研究課題に従って,現在までに得られた研究実績は以下に要約される。 1)超音波内視鏡(EUS)の臨床的応用に関する研究として,健康なピ-グル犬を用いイ)正常な消化管および腹部各臓器の描出方法およびEUS画像の集積を行った。消化管壁の構造,胆のうおよび膵臓の描出にすぐれていることがわかった。ロ)胆汁およびセルレインを用い,実験的に急性膵炎を作出し,EUSによる画像観察を行った。膵臓の腫大,血縁不整,実質の不均一化など急性膵炎の肉眼的病変をよく反映する成績が得られた。ハ)摘出消化管を用い,実験的に壁在性病変を作出し,そのEUSを行った。壁内の嚢胞および血腫を明瞭に描出し得た。以上の結果から,膵臓病変や消化管壁の限局性病変の診断にEUSの有用性が高いことが明らかにできた。 2)実験動物における超音波適応性の検討 イ)猫条虫感染ラットの肝臓における感染病巣(嚢胞性病変)の検出にUSの適応性を検討するため試験的に行い,今後,系統的に研究をすゝめる指針となる成績が得られた。またウサギを用いた抗生物質投与試験で腎毒性の評価にも応用できることの成績から今後他の薬剤による腎毒性の評価への応用性を検討する計画でいる。 科研査配分額および本学家畜病院の改修工事の大幅な遅延などのため,当初の研究計画の一部変更も生じているが,今年度の成果をふまえさらに研究を進展させる。 また、穿刺用器具も購入しているので,超音波ガイド下穿刺についても,今後検討する。 腫瘍を含む各種臨床症例の画像所見の集積も行っている。
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